S2-E21
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灯台
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町の中心にそびえる塔が夜の闇に向かって白い光を浴びせていた。どこまでも伸びる光の腕が町にはびこる闇を払い、物陰にひそむ怪物たちを照らし出した。怪物たちは光を嫌った。光があたると煙を吐いて逃げ惑った。怒り狂って光を罵り、影を求めて壁を伝った。町の人々は耳を澄ませた。怪物が走る音がする。出口を求めて壁を引っ掻く音がする。大人たちはろうそくを立てて戸口を見張り、子供たちは毛布をかぶって耳を覆った。朝までまだ、だいぶ時間がある。
Copyright ©2014 Tetsuya Sato All rights reserved.
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