S2-E10
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怪物
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祝日の午後、村の若者が共有の草刈り場へ入っていくと、草のあいだから村の娘が顔を出して艶っぽい目つきで手招いた。村の若者は村の娘を押し倒してすぐさま行為に及ぼうとしたが、そこへ怪物が目玉を揺すりながら現われて村の若者の頭をねじ切った。そして悲鳴を上げる村の娘をさらって共有の狩場がある森のほうへ消えていった。次の晩には教会の裏手で別の若者がひねり殺され、一緒にいた娘が怪物にさらわれた。その次の晩にはまた別の若者が自宅の納屋で真っ二つにされ、一緒にいた娘が怪物にさらわれた。続く三日のあいだにさらに三人の若者が殺されて、若者と一緒にいた娘がさらわれた。殺されたのは自業自得だからとにかくとしても、さらわれたのが一人や二人ならいざ知らず、五人六人となると村の人々もさすがに放っておくことができなくなった。そこで有志を募って現場を調べて怪物の足跡があるのを発見すると、武器や松明を手にして足跡を追って共有の狩場がある森を抜け、きのこ狩りの季節だけ慣習によって共有になる私有地の森の奥へと入っていった。村の人々は森の奥の古い修道院の廃墟の脇で怪物たちの円盤型の乗り物を見つけた。無造作に開け放たれた入り口からなかへ入ってみると、牙を剥いた怪物たちが半裸に剥かれた村の娘たちに迫っていた。村の人々は鋤、鍬、鉈などで怪物たちを片づけて、娘たちを助け出した。怪物たちの死体を埋め、怪物たちの乗り物には火を放った。
Copyright ©2014 Tetsuya Sato All rights reserved.
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