The Informant!
2009年 アメリカ 108分
監督:スティーブン・ソダーバーグ
90年代初頭、実在する穀物メジャー、アーチャー・ダニエルズ・ミッドランドの重役でリシンの製造を担当するマーク・ウィテカーは製造ラインの不調に困惑していたが、そこへ味の素から脅迫電話がかかり、製造ラインの不調にスパイの存在がかかわっている可能性が浮かび上がるので、会社はマーク・ウィテカーの報告にもとづいてFBIに捜査を要請、FBIは味の素との接点にいるマーク・ウィテカーと接触するが、ここでマーク・ウィテカーが妙なことを言い始めたことからリシンの価格に関する国際カルテルの存在が明らかになり、以降、マーク・ウィテカーはFBIに協力して会社の情報を流し続けるが、このマーク・ウィテカーという人物の行動には微妙なむらがあり、どうもおかしいと思っているうちになにやら振り回されているという恐ろしい話で、いちおう実話をもとにしているらしい。
マット・デイモンが双極性障害の患者を演じてなんとも言いようのない味を出し、それに振り回されるFBI捜査官を演じたスコット・パクラがまたいい味を出していた。どこか冷笑的な演出もなかなかに気が利いているが、なにしろソダーバーグなので観客の素朴な笑いをそのままにはしてくれない。けっこう怖いのである。ふつうに都市があってビルがあって道があって、それでパースが取れるとソダーバーグは調子がいい。
Tetsuya Sato