Blue Demon
2004年 アメリカ 89分 VIDEO
監督:ダニエル・グロドニク
軍の委託を受けた海洋研究所で遺伝子操作したサメを沿岸防衛に使う研究がおこなわれていて、案の定というか、なんというか、それ以前の話であろう、という感じで六週間もほったらかしにされていた水中フェンスの破れ目からサメが逃げ出してしまうので、離婚直前の状況にある科学者夫婦が互いを励ましながら追いかける。
研究所の所長が垂直方向に著しくチャレンジされていて、だから執務机を台の上に乗っけているとか、タカ派の将軍が近づくたびに兵士たちが敬礼を繰り返すとか、ある種のコミック演出が試みられているあたりはもしかしたら評価の材料になるのかもしれない。とはいえ登場人物は例によってダンゴムシ程度の知能も備えていないし、話はどうしようもないほど砕けていて、場面が変わっても前の情報がほとんど後ろに伝わっていない。つまりダンゴムシの伝言ゲームを見ているかのような趣があり、それはそれで興味深いところではあるが、それならば本当にダンゴムシにやらせるべきであろう。そうすれば問題の所在があきらかになる。サメのCGは古い教育番組の添え物のレベルで人物とはほとんどリンクしない。水上から目撃される場面ではハリボテのヒレが使われているが、上半分は乾いていた。なお科学者夫婦のうちの妻のほうを演じているディディ・ファイファーはミシェル・ファイファーの六つ年下の妹だという。
Tetsuya Sato