Premium Rush
2012年 アメリカ 91分
監督:デヴィッド・コープ
ニューヨークでメッセンジャーをしているワイリーはある日の午後、友人から封筒を中華街まで運ぶ仕事を引き受けるが、そこへ人相の悪い刑事が現われて封筒をよこせと脅すので、大学出でロースクールのドロップアウトでスーツが嫌いで自転車が好きで、固定ギアでノーブレーキの自転車にまたがって危険運転を顧みないワイリーは刑事を振り切って町を突っ走り、そうすると刑事が車で追ってくるし、ニューヨーク市警の自転車警官にも追われるし、ほとんど死にかけるし、ということで配達をあきらめて封筒を発送元に戻すと刑事が罠をしかけて封筒が自分の手に入るように仕組み、封筒の持ち主から事情を知ったワイリーは封筒を取り戻すためにまたしても町を突っ走る。
一瞬でも気を抜くと事故を起こすような自転車の走りっぷりがすごいし、そのめまぐるしい走りをとらえた撮影もすごい。危険を控えた瞬間に頭のなかでシミュレーションを繰り返したり、数時間の枠のなかで時間軸を交錯させたり、といった構成にはスタイルがうかがえるものの、リズムが途切れるタイミングがいくらかあって、まだ磨きようがあるのではないかと感じたが、力作なのは間違いないと思う。主役のジョセフ・ゴードン=レヴィットはあの細いからだで熱演していた。背景のニューヨークの街並みがまた魅力的で、自転車目線でとらえられた風景が不思議なくらいに目新しい。
Tetsuya Sato