2013年4月16日火曜日

テス

テス
Tess
1979年 フランス/イギリス 171分
監督:ロマン・ポランスキー

マーロット村のジョン・ダービフィールドは自分が名門ダーバヴィルの直系の末裔であることを知らされ、ダーバヴィルを名乗る金持ちの家に娘テスを親戚として送り込むが、その家はダーバヴィルの家名を金で買っただけで、それでもその家の息子アレック・ダーバヴィルはテスに支援を約束し、テスを雇い入れて情婦にするので、アレックを嫌ったテスはダーバヴィルの家から飛び出して実家に戻り、そこでアレックの子供を産み落とし、子の死に先立ってみずから洗礼をほどこすが、教会が亡骸の受け入れを拒むので教会を呪い、酪農家のところへ奉公へ出て、そこでエンジェル・クレアと恋に落ちて結婚するが、テスの過去を知ったエンジェル・クレアはテスを見捨ててブラジルへ旅立ち、テスは農場の下働きをしながら糊口をしのぎ、やがて父の死によって家族が家を失うと、ふたたび現われたアレック・ダーバヴィルが救いの手を差し伸べるので、テスはアレックの事実上の妻となり、そこへブラジルで失敗したエンジェル・クレアが心を入れ替えて帰国して、妻の姿を探し求め、ついにつきとめてテスの前に現われて許しを請うと、テスはエンジェル・クレアを追い出してから決定的な行動に出る。
濃密に再現された、言わばハーディ的な空間がきわめて好ましい作品であり、撮影は美しく、細部にこだわりが見え、そして当然ながらナスターシャ・キンスキーが美しい。一方、エンジェル・クレアを演じるピーター・ファースの魅力の乏しさと、アレックを演じるリー・ローソンの、言わばあたりまえな男ぶりが対照的で、ただ単に画面を見ていると、テスの選択に首をかしげたくなるのである。 




Tetsuya Sato