S4-E19
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蝉
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異星人による侵略は人類が知らないあいだに始まっていた。ひそかに送り込まれた異星人の兵士たちは地下にもぐって鞘のようなポッドに入るとそこで七年のあいだ息をひそめ、ついに時が訪れるとポッドを捨てて地上に現われ、母星からの指令を求めてブナ、クヌギ、コナラなどの樹木に這い上がった。異星人たちは地球人が知らない高度な通信技術を使っていたが、それでも母星からの応答を得るのに七日以上を必要とした。地球環境にあわせて細胞を改変されていた兵士たちには、この待機の期間は長過ぎた。指令を待っているあいだに兵士たちは寿命を迎えて、木からぼとぼとと落ちていった。
Copyright ©2015 Tetsuya Sato All rights reserved.
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