2015年4月13日月曜日

Plan-B/ 瓜

S4-E21
 老人が畑に出て瓜を採っていると見慣れない小僧がやって来て瓜をくんろと訴えた。そこで老人は小僧に瓜を一つくれてやった。すると小僧は瓜を一口で平らげて、もう一つくんろと訴えた。老人は小僧に瓜をもう一つくれてやった。小僧はそれもたった一口で平らげた。そしてもう一つくんろと訴えるので、老人はもう一つくれてやった。気のいい老人がくんろと言われるたびにくれてやるので、畑の瓜はとうとう一つもなくなってしまった。日も暮れたので、老人は家に帰っていった。昼間のことを女房に話していると外から老人を呼ぶ声がした。外に出てみると大天狗が黒雲を背負って立っていて、昼間はせがれが世話になったと叫ぶと老人の前に金の粒や銀の粒、赤や黄色の反物を山のように積み上げた。因業で知られた隣の男が藪のなかからこれを見ていて、早速真似をしようとたくらんだが男の畑には瓜がない。家のなかの一切合財を売り飛ばし、女房子供の着物も質に入れて瓜を山のように仕入れて畑に並べ、そうして小僧が来るのを待ち構えたが、今度は小僧がやって来ない。日暮れまで待っても来ないので、男は天狗とその一族を三代前までさかのぼって罵って、家に帰ってからも罵っていると外から男を呼ぶ声がした。外に出ると大天狗が黒雲を背負って立っていて、見るなり下駄を上げて男をつぶし、これで貸し借りはなしじゃと叫んで夜の空に舞い上がった。

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