2015年4月4日土曜日

Plan-B/ 陥没

S4-E14
陥没
 郊外にある住宅街の一区画が一瞬で消滅した。瀟洒な小窓にレースのカーテンを吊るしたいくつもの家が、いずれもよく手入れされた天然芝の庭と一緒に、突如として口を開いた地面の穴に飲み込まれた。道は断ち切られ、走っていた車も穴に消えた。警察や消防がサイレンを鳴らして駆けつけてすぐに救助活動を始めたが、穴から爆煙が噴き上がるのを見て撤退にかかった。噴き上がる煙のなかから巨大な怪物が現われた。巨大なモグラの怪物が黒々としたからだに土砂をまとい、空に向かって咆哮を放つと爪のそろった前足を振ってひしめく家々を打ち砕いた。警官たちが発砲を始めた。しかし口径の小さな短銃身のピストルばかりなので怪物にはいかほどの効果もない。現場から徒歩で二十分ほどの距離にある最寄駅の近くに対策本部が設置され、何台ものトラックに乗って兵士たちが集まってきた。戦車隊が出動してモグラの怪物に砲撃を加え、上空からは戦闘機がミサイルと機関砲で攻撃した。華々しく火柱が上がって郊外の住宅地は壊滅的な打撃を受け、怪物はまたしても咆哮を放つと穴を掘って地下に逃れた。

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