S2-E07
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馬
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春の嵐とともに海から馬が上がってきた。見上げるような黒馬が浜辺に蹄の跡を残し、たてがみを風に揺らしながら、引き上げられた船をつぶした。玉の雨を率いて町を駆け抜け、音を立てて道を砕き、雲に煙る荒れ野へ走って丘に登ると、振り上げた前脚で天に挑んで声を高く響かせた。嵐が過ぎ去ったあと、まばゆい光が丘を照らした。
Copyright ©2014 Tetsuya Sato All rights reserved.
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