Michael Kohlhaas
2013年 フランス/ドイツ 122分
監督:アルノー・ドゥ・パリエール
馬商人ミシェル・コラースは売り物の馬を引いて市へ向かっていたが、途中で男爵の通行止めに出会って黒馬二頭を担保に取られ、引き取りにいくと馬はひどい状態になっていて、しかも馬の世話をするために置いていった雇い人は怪我を負っている、という有様だったので、ミシェル・コラースは男爵を相手に損害賠償の訴訟を起こすが、男爵が縁故を使って訴訟が棄却されるように仕組むので、ミシェル・コラースは王妃への直訴を考え、夫に代わって直訴におもむいた妻が負傷して死ぬと、ミシェル・コラースは男たちを集めて男爵の城に襲撃を加え、男爵が逃亡するとミシェル・コラースの一党は数をふくらませながら近隣に圧力を加えるので、聖職者がやって来て説教をして、王妃がとりなしをして訴訟が前に進み始めるとミシェル・コラースは配下を解散して家に戻り、裁判はミシェル・コラースの訴えを認める一方でミシェル・コラースの罪も認め、ミシェル・コラースは賠償を受けたのちに打ち首にされる。
クライスト『ミヒャエル・コールハース』の映画化で、DVDのタイトルは『バトル・オブ・ライジング コールハースの戦い』。プロットはほぼ原作のままだが舞台はピレネー近辺のおそらくスペイン側に設定されていて(ダイアログはフランス語)、即興的なカメラと編集は一定のスタイルを保ってはいるが、相当な低予算なので、馬にまたがった少人数がもっぱら山の中をうろついている。ドイツ的な「現状」から引き離されたことで素材ややや正体不明になり、ルターの代わりに登場する聖職者はなんとなくルターが言いそうなことを言うものの、言うだけでなにもしないのでうざいだけだと言えなくもない。マッツ・ミケルセンのコールハースはさすがに見栄えがするし、出てくる馬はどれもこれも立派だし、それがいかにも標高の高そうな場所を移動する場面もなかなかの絵にはなっている。ただ、では面白いかと言えばやや微妙だと言わざるを得ないし、カメラがなにかというと娘役のメリュジーヌ・マヤンスに向きたがるのは意図があってというよりは、おそらく監督の雑念であろう。
Tetsuya Sato