Un conte de Noel
2008年 フランス 150分
監督:アルノー・デプレシャン
染物工場を営むアベル・ヴュイヤールとその妻ジュノンのあいだには四人の子供があり、長男のジョゼフは白血病で幼くして死に、長女のエリザベートは劇作家として成功して数学者の夫とのあいだに十五歳になる息子があり、次男のアンリはなぜか役立たずとしてジュノンに嫌われ、またエリザベートから憎まれ、五年前の事件をきっかけに「追放」された状態にあり、三男のイヴァンは結婚して二人の幼い息子がいるが、その妻シルヴィアは結婚の選択に誤りがあったとどこかで感じている、という状況を背景に、ジュノンが貧血を感じて医者を訪れたところ、移植片対宿主病と診断され、治療のために骨髄移植が必要になり、適合するドナーがないことから家族にドナーを求めるついでにクリスマスに家族全員が実家につどい、つまらないことで意地を張ったり、孤独を感じたり、退屈したり、みんなでテレビの前に集まって『十戒』を見たりする。どこかの国の正月の風景そのまんま、と言えばわかりやすい。
それぞれに個性的な人物造形と俳優の演技は見ごたえがあり、説明的な要素は排除され、かわりにモノローグがときおり前に出て、視点は登場人物によって分散される。まったくドラマチックではないが、構築性の高い作品である。ジュノン役がカトリーヌ・ドヌーヴ、一家のもてあまし者アンリ役がマチュー・アマルリック。
Tetsuya Sato