The Magnificent Seven
2016年 アメリカ 133分
監督:アントワーン・フークア
南北戦争終結からおよそ10年後、六つだか七つだかの自治体で法執行を代行するサム・チザムが賞金稼ぎの腕を見せていたころ、小さな開拓村ローズ・クリークでは開発業者バーソロミュー・ローグが金の採掘のために極悪な手段で地上げをしていて、事実上の立ち退き命令に遭遇したローズ・クリークの住民たちは自らが拓いた土地を守ることを決意するが農民ばかりなので次の手に進めずにいるうちにバーソロミュー・ローグによって夫を殺されたエマ・カレンがサム・チザムを発見、事情を説明するとサム・チザムは仲間を集めにかかり、あれやこれやで七人になるとローズ・クリークの町に奇襲をしかけてバーソロミュー・ローグが雇った警備員を排除、町を要塞化するとともに弾薬確保のためにバーソロミュー・ローグの金鉱を襲撃して鉱夫若干を味方に引き入れ、そうしているとバーソロミュー・ローグの軍隊が押し寄せてくる。
サム・チザムがふつうに貫禄のデンゼル・ワシントン、仲間がクリス・プラット、イーサン・ホーク、ヴィンセント・ドノフリオなどのほか、なぜかイ・ビョンホン。サム・チザムを味方に引き入れるエマ・カレンがヘイリー・ベネット、無駄に悪事の多いバーソロミュー・ローグがピーター・サースガード。登場人物はいずれもよく造形され、まったく美人ではないヘイリー・ベネットがたいそう魅力的に撮られている。
時代を反映してか、農民対盗賊という関係は農民対産業資本に変更され、資本主義を賛美するバーソロミュー・ローグの軍隊が金で雇われた男たちなら農民につく七人もただ飯にありつくために集まったわけではなく、それぞれが名のあるプロで主人公のサム・チザムに至っては個人的な理由まで抱えている。そしてサム・チザムが状況に深く関わっているのと、そしておそらくは農民たちがほぼ善良な無力者として描かれている関係で、勝ったのは農民たちだという台詞はこの映画には登場しない。代わりにエマ・カレンが男たちの崇高さをたたえるが、たぶんこれでは単純すぎるし何か付け焼刃のような気がしてならない。素材を近代化する過程で重要なものが欠落したのではあるまいか。とはいえ銃撃戦の造形はおおむね古典的で(極端に少ない硝煙も含めて)、最近の西部劇(『3時10分』とか『ジャンゴ』とか)のようになっていないところは好ましいし、アントワーン・フークアだという理由でほとんど期待していなかった、というところもあって、それほど悪くない。