2016年6月7日火曜日

スタング

スタング
Stung
2015年 ドイツ/アメリカ 67分
監督:ベニ・ディーツ

田舎に住んでいる富豪の未亡人とその息子が地元の名士を集めてガーデン・パーティを開くということで父親からケータリング会社を引き継いだジュリアは察するところ唯一の従業員のポールとともにシトロエンの古いバンで屋敷を訪れ、ほぼ素人同然の手順の悪さで準備にかかり、見ているこちらがその仕事ぶりにいいかげんイライラし始めたところで夕方になってパーティが始まり、そこへ大きな蜂が大群で現われて招待客に襲いかかり、刺されたひとは地面に倒れて、倒れたひとのからだを破って牛ほどもある蜂の怪物が現われ、富豪の未亡人とその息子、家政婦、市長、ジュリアとポールがどうにか難を逃れて屋敷に戻り、携帯は圏外だということなので固定電話を使おうとすると脱出を図った招待客の車が電信柱に激突し、外へ出て車で逃げようとするとポールが鍵をなくしていて、ばたばたとしているうちに一人が刺され、また一人が刺され、生き残りはジュリアとポールだけになり、そもそもジュリアに恋い焦がれていたポールはジュリアの前で勇敢にふるまい、ポールに毛ほども関心がなかったジュリアはポールの勇敢なふるまいを見て気持ちが動き、最後のキスシーンが長い長い。 
市長が頭の悪いドイツ映画にときどき顔を出しているランス・ヘンリクセン。いちおうアメリカ某所が舞台ということになっているけれど、どこをどう見てもドイツ某所であろう。アサイラムあたりも含めて頭に悪い映画に共通していることだけど、演出力もないのにやたらと時間をかけて人物描写のようなことをしても時間を無駄にしているだけで、たいていは何の描写もできていない。蜂に刺されると蜂の怪物が犠牲者のからだから、という描写もリアリティを欠いていて、頭の悪いプレゼンテーションを見ているような気分になる。ステップ1、蜂に刺される、ステップ3、蜂の怪物が出現する。で、ステップ2はどこにいった? 

Tetsuya Sato