Kong:SkullIsland
2017年 アメリカ 118分
監督:ジョーダン・ヴォート=ロバーツ
1973年、ベトナム戦争が終結したころ、ランドサット衛星によって発見された太平洋上の未知の島にソ連に先んじるという大義を唱えて特務機関モナークの科学者たちがダナンで撤収準備中の空輸部隊を護衛に探検に乗り込み、地質調査と称して事実上の爆撃を開始すると規格外に巨大なサルが現われて爆撃任務にあたっていたUH-1を次々と撃墜、それなりの規模で投入された米陸軍航空部隊は全滅して生存者は地上に取り残され、島は常に嵐に囲まれているので外部との連絡も阻まれ、補給部隊が到着するまでの三日間に時間を限られた状況で危険の島を移動する。
33年版でもなく、まして76年版でもなく、したがって愛に満ちたピーター・ジャクソン版でもなく、怪獣対怪獣対アメリカ陸軍という直線的な構図を描いて、そこに合わせてまずキングコングを大きくし(なにしろバートルもシー・スタリオンも一撃で破壊するくらいなので)、アメリカ陸軍には敗北の傷跡を与え、生存者には川を遡らせ、それを案内する元SASにはわざとらしくコンラッドという名を与え、都合よくカーツ大佐に変じたサミュエル・L・ジャクソンが黙示録的光景を演出するとそこにテリー・サザーン的な要素も混じり込んでいるような気もするという、つまり快作というか怪作で、しかも徹底しているのか無神経なのか、ヘリコプターの数が場面によって露骨に異なる。先行作品に対する差別化という意味では徹底しているし、登場するキャラクターも含め、内容的な豊かさも頼もしい。トム・ヒドルストンはもしかしたらこれまでで一番いい仕事をしているのかもしれないが、ともあれ傑作であろう。