Whiskey Tango Foxtrot
2016年 アメリカ 120分
監督:グレン・フィカーラ
テレビ局でキャスター用の原稿書きの仕事をしていた42歳未婚のキム・ベイカーは2003年、イラク戦争の勃発でアフガニスタン駐在員が手薄になったという理由から現地レポーターに転身することになり、対空ミサイルを回避しながら螺旋状に降下する旅客機に悲鳴を上げ、カーブルの悪臭と大気汚染に鼻をやられ、鉄製の門で守られた支局の与えられた自室の窓から交合する犬を見下ろし、シャワー道具を抱えてシャワーを探し、ニューヨークで6点の女でもアフガニスタンでは9.5点になると言われ、海兵隊を訪問してオレンジ色のバッグに難癖をつけられ、バッグにカムフラージュテープを貼って海兵隊のパトロールに同行し、タリバーンとの交戦でカメラを構えて前に飛び出し、そのおかげで海兵隊の大佐からウーラーと声をかけられ、3か月で帰国するはずが年が変わっても帰国できず、そのまま1年がたち、2年がたち、アフガン人の同僚からアドレナリン中毒に陥っていると指摘され、アフガニスタン政府高官と顔がつながり、スコットランド人の戦場カメラマンと恋に落ち、自室の窓から交合する犬を見下ろし、現実に立ち返って成長するためにはこの幻想の国から抜け出す必要があると感じ始める。
キム・ベイカーがティナ・フェイ、海兵隊の指揮官がビリー・ボブ・ソーントン、スコットランド人カメラマンがマーティン・フリーマン。モロッコとニューメキシコでロケされたアフガニスタンはいかにもそれらしい仕上がりで、生活の細部まで目端が利いた撮影のせいでおもわず現地ロケかと疑った。ティナ・フェイの魅力で持っている部分が大きな映画であることに違いはないが、誠実な語り口が好ましい。原題の"Whiskey Tango Foxtrot"は"What the fxxx"を意味しているらしい。まあ、そんな感じ。海兵隊の偵察シーンで一瞬だがオスプレイが登場する。機内の様子が興味深い。