Pawn Sacrifice
2014年 アメリカ/カナダ 115分
監督:エドワード・ズウィック
ボビー・フィッシャーの前半生をチェスの才能を見せ始めた50年代初頭から1972年、レイキャヴィクの世界大会でボリス・スパスキーを破るまで。トビー・マグワイアが心に問題を抱えた主人公を熱演し、セコンド役のピーター・サースガードがいい感じで、ボリス・スパスキーを演じたリーヴ・シュレイバーがまたよろしい。エドワード・ズウィックの仕事はさすがという仕上がりで、50年代から70年代まで、いわゆる冷戦期における色彩表現の変遷をたくみに引用しながら時代色を演出し、主人公が抱えた歪みから主人公を囲む世界の歪みまで、広い視野で描き込んでいる。クライマックスの世界大会におけるチェスシーンは破格の緊張感で、チェスを扱った映画でこのレベルは類がないような気がするが、とはいえ、これはチェスというよりはポーカーであろう。
Tetsuya Sato