Hacksaw Ridge
2016年 オーストラリア/アメリカ 139分
監督:メル・ギブソン
ヴァージニアの田舎町で生まれたデズモンド・ドスは第一次大戦のPTSDに苦しむ父親の暴力に耐えながら信仰に篤い若者に育ち、看護師ドロシー・シュッテとの恋に落ちてまもなく婚約、その背後では第二次大戦が進行中で、弟が出征するとデズモンド・ドスもまた志願し、しかし良心的兵役拒否者として武器を取ることを拒むので上官などから嫌がらせを受け、命令を拒否したという理由で軍法会議にかけられるがデズモンド・ドスは信念で主張を押し通し、看護兵としてのみ働くことを認められて1945年5月、沖縄の戦いに送られて前田高地の戦場で戦友多数の命を救う。
後半、戦闘が始まるとその絵画的な描写にときおり息を呑んだが、見終わった感想を言えば、なにか物足りない。序盤の展開などは『ブレイブハート』とほぼ同じだというのに、この華のなさはなんなのか。このような見方はあまり適当ではないのかもしれないが、映画の企画自体がもともとセブンスデー・アドベンチスト教会からの持ち込みで、そのセブンスデー・アドベンチスト教会の聖人伝説をカトリックのメル・ギブソンが監督しているというところに収まりの悪さがあるのかもしれない。悪い映画だとは言わないが、最後の「昇天」場面には少々引いた。