ユダヤ人だらけ
Ils sont partoute
2016年 フランス/ベルギー 111分
監督:イヴァン・アタル
セファルディー系のユダヤ人で1965年生まれの俳優イヴァン・アタルが自身がユダヤ人であるという事実に取りつかれてほぼパラノイアの状態で精神科医に自分のこだわりについて語り続けるあいまに反ユダヤ主義を掲げる右翼政党の次期党首の夫は祖母の死によって自分の意外な正体を知り、ユダヤ人は金持ちであるという「一般常識」に反して失業中で無一文のユダヤ人の男は異教徒の妻にその点を罵られて負け犬となじられ、Googleでユダヤ人について調べて実はユダヤ人が金持ちであることを知り、したがって自分はユダヤ人ではないという判断を下してユダヤ人である「義務」を捨て、「われらがモサド」はイスラエルが秘密裏に開発したタイムマシンを使って恐るべき歴史「修正主義」作戦を実行に移し、ドランシー通過収容所跡地の向かいに住む赤毛の男は連日のように出現するユダヤ人に業を煮やし、ユダヤ人ばかりが同情を集めていると怒り、赤毛であることで自分がいかなる虐待を受けたかを叫んで赤毛連盟を結成し、経済破綻に瀕したフランス政府はユダヤ人だけはどうにか成功しているという事実に気づいて恐るべき「最終解決」を国民に提案し、語り続けるイヴァン・アタル本人はイスラム教徒の役を引き受けるかどうか考えている。
Netflixで鑑賞。監督・主演がテルアビブ出身のイヴァン・アタル。「ユダヤ人であること」と「反ユダヤ主義」に関する「偏見」に満ちたスケッチを重ねたコメディで、かなり笑えるし、異教徒の妻役で登場するシャルロット・ゲンズブールのビッチぶりもなかなかにすごいが、とにかく神経逆なで系なのでとても疲れる。
Tetsuya Sato