2016年11月16日水曜日

13時間 ベンガジの秘密の兵士

13時間 ベンガジの秘密の兵士
13 Hours
2016年 アメリカ 144分
監督:マイケル・ベイ


カダフィ政権崩壊後のリビア、ベンガジにはアメリカ領事館が置かれ、そこからほど遠からぬところにはCIAの秘密基地があって、そこではCIA職員20人ほどがリビアにおける武器密売ルートを調査して、機会をとらえては買い取るという活動をしていて、この基地を守るために元アメリカ軍人6人が警備員として雇われて、言わば非常勤職員ということで微妙に粗略な扱いを受けていて、そうしていると2012年、預言者ムハンマドを冒涜する例の素人映画が話題になってエジプトで抗議活動が起こり、それがリビアにも波及してなぜか9月11日、イスラム厳格派の武装勢力が領事館を襲撃、領事館は放火され、CIAの秘密基地にいた警備員6名は武装して救援にかけつけるが、このときたまたまトリポリからベンガジを訪問していた大使は行方不明のままで、領事館の保安職員を救出して基地に戻ると今度はその基地が襲撃され、迫撃砲弾が撃ち込まれる。 
ベンガジで実際に起こった事件の映画化で、モロッコとマルタ島でロケがされているようだが、当時のリビアの荒廃した雰囲気がよく再現されている。状況判断を間違い続ける現地CIA、アメリカ側の指揮系統の混乱ぶり、味方も敵も同じようにしか見えないし、実際のところ敵か味方かもわからないリビアの武装勢力、時間の経過に沿って刻々と悪化する状況、ドキュメンタリー調の戦闘シーンなどが2時間半の長尺にきちんとまとめらていて、ここに全員が妻子持ちという(つまり出稼ぎに来ている)警備員たちの不安や望郷の念などが加わるとそこが少々わずらわしいし、そこだけブラッカイマーの映画みたいだし、それをしているあいだにもう少し周囲の状況を書き込んでほしかったような気もしないでもないが、全体からすると悪くない。 
Tetsuya Sato