War Machine
2017年 アメリカ 122分
監督:デヴィッド・ミショッド
アフガニスタン多国籍軍の司令官に任命されたグレン・マクマホン将軍はアフガニスタン各地を視察して自分なりに状況を把握、勝つためには新たに40000人の投入が必要であると判断するが、政策としてすでに撤退が決まっているところでそれはないという政府外交筋の抵抗に出会い、それでも説得を続けて若干の増派を確保すると、それでは足りないということでNATO諸国に増援を求め、フランス、ドイツから承諾を得て部族支配地域で作戦を開始、武装勢力との交戦で民間人に死者を出し、ローリングストーン誌にはヨーロッパ行脚中のご乱行を暴露され、ということで退路を失い解任される。
NETFLIXオリジナル。アフガニスタンというややこしい状況を背景に生真面目な職業軍人の思考やその軍人を取り巻く人物環境、政策と軍政との避けがたい温度差など、いろいろと盛り込んでいて、それを描く視覚的な面白さもあってなかなかに興味深い内容になっている。ただ、語り手をローリングストーン誌の記者にしたことで実際の状況と批評性とのあいだのバランスがうまく取れていない。製作にも関わったブラッド・ピットが実年齢で自分よりも8歳年上の将軍の役を演じているが、ことさらに老いを強調した役作りがブラッド・ピットというキャラクターとどうにも噛み合っていない。モデルになったスタンリー・アレン・マククリスタル将軍の写真を見るとブライアン・クランストンあたりがなりきりで演じたほうがよかったのではないか、という気もしないでもない。ハーミド・カルザイ役にベン・キングズレー、NATO向けの政策ブリーフィングでマクマホン将軍に質問を浴びせるドイツの政治家にティルダ・スウィントン。
Tetsuya Sato