ビグルス・時空を越えた戦士
Biggles: Adventures in Time
1986年 イギリス 92分
監督:ジョン・ハフ
1930年代に誕生したイギリスの架空のヒーロー、いわゆるビグルスが主人公で、ビグルスが第一次大戦を舞台にドイツと戦っていると、そこへドイツ軍のパラボラ型の秘密兵器が実にいかがわしく顔を出し、さらにビグルスと時空を越えて双子であるところの現代ニューヨークの料理評論家がタイムスリップして現われる。現代と過去を結ぶ言わば狂言回しが黒いコートをまとったピーター・カッシングで、なぜかロンドン橋に潜んでいるのである。ジョン・ハフがきわめて軽快なタッチで演出をして楽しい映画に仕上げている。
Tetsuya Sato
ガンバス
Sky Bandits
1986年 イギリス 93分
監督:ゾーラン・ペリシック
バーニーとルークの二人組は西部で銀行強盗を繰り返していた、というよりもダイナマイトの量をまったく加減する気がないので正確には銀行を吹っ飛ばしていたが、ある日、自分たちのダイナマイトの適量に見合う銀行を見つけて早速押し入ったところ、あっという間に御用になり、舌先三寸で逃げを打つと瞬時に軍隊に放り込まれ、西部戦線に送られる。第一次大戦中なのである。戦線をうろついていると目の前にドイツ軍の巨人爆撃機が浮かんでいるのでそれをぶつぶつ言いながらピストルで撃墜し、イギリスの航空兵と賭けをして飛ばしたことのない飛行機を飛ばし、空で迷子になって落ちたところがたまたまイギリス軍特攻部隊で、指揮官バノック大尉に妙な具合に気に入られて、というか強引に取り込まれる形でこの特攻部隊の一員となると、早速スイスへの逃亡を図るが、そのためには戦線を突破する必要があり、しかも上空にはドイツ軍の超巨大飛行船が雲に姿を隠して遊弋し(雲から潜望鏡を下ろして下界を覗いている)、それであれやこれやとしているうちに特攻隊と空中戦艦の決戦になり、ドイツ空中戦艦が機銃と大砲で弾幕を張り、ロケットを発射し、空中機雷を射出するなか、イギリス特攻隊が(本部からまともな飛行機を回してもらえないので)自家製の得体の知れない飛行機を連ねて突っ込んでいく。
秘密メカ満載という世界なのである。主人公二人の間抜けなキャラクターがなかなかに笑えるし、イギリス側、ドイツ側もそれぞれにキャラクターを立て、特攻隊の指揮官が「死と栄光を」と叫べば、空中戦艦の指揮官はわざわざ雲のなかから降りてきて「これが未来の戦艦だ、わはははは」などと笑い、特攻隊のマッド整備士は自分がドイツ軍にいると思い込んでいる。いささか不器用に作られた映画ではあるが、作り手の素材に対する愛着が見え、たいそう楽しくてほほえましい。
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Tetsuya Sato
ディセントZ 地底からの侵略者
The Burrowers
2008年 アメリカ 96分
監督・脚本:J.T.ペティ
1879年のダコタ準州。開拓民の一家が惨殺され、別の一家がそろって行方不明になり、近郷の男たちは騎兵隊と合流して捜索にかかるが、騎兵隊の隊長は最初からスー族のしわざだと決めつけて見つけたスー族の男を拷問にかけ、これではらちが明かないと考えた男たち四人は騎兵隊と別れて別行動を取るが、夜間に何者かに襲われて一人が首に傷を負う。スー族の説明によれば一帯では三世代に一度、地中に棲む種族が現われて狩りをするが、獲物にしていたバッファローが白人による乱獲のせいで減ったので、かわりに人間の味を覚えて人間を捕え、体内に毒を注入してから地面に埋めて、毒がまわって柔らかくなったところへ再び現われ、犠牲者は生きながら内臓をすすられることになるという。
ほぼ全編にわたって野蛮が支配し、人命は軽く、登場人物も宿命的に倒れるので主人公と言えるような主人公も登場しない。『宇宙戦争ZERO』(High Plains Invaders)のようにモンスター系のフレームにただ西部劇を持ち込むのではなく、西部劇に独自のフレームを与えた上でモンスターを自然な形で埋め込んでいる。話法につたなさが見えるものの作りは良心的で、画面は厚みがあり、雰囲気はよくまとめられていると思う。地中の怪物はCGおよびメカニカルで、それなりの数がそれなりに不気味な姿で出現し、ゴア表現にも遠慮がない。imdbによると原型になったテレビシリーズがある模様。
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Tetsuya Sato
宇宙戦争ZERO
High Plains Invaders
2009年 カナダ 88分 TV
監督:クリストファー・タボリ
1892年のコロラド。小さな町で列車強盗の公開処刑が始まろうとしていたころ、その町に機械でできた虫のような怪物が現われて住民を殺し、生き延びた数人が戦う。西部劇の世界にエイリアンの戦闘兵器が、という着想は面白いものの、そこから先の発展がない。発展がないから困った末にどうなるのかというと、生存者のなかにいきなり科学者が混じっていて、自分は近くでウランの精製をしていると告白し、宇宙から飛来した怪物もウランを狙っていると推理してウランをエサにおびき寄せると怪物たちはウランを喜んで食べるので、ウランを食べた怪物は可燃性が高くなる、とさらに推理を進めた科学者が自己犠牲で火を放つとこれが実によく燃えて上空にいたエイリアンの母船までが都合よく吹っ飛んでくれるのである。カナダ製のこの手のテレビ映画にスケールを期待していたわけではないが、登場人物は序盤の町の住民を含めて十人ほど、馬が全部で三頭ほど、怪物も予算の関係があって同時にたくさんは登場しない。撮影はおおむねきれいだが中身がないし、そもそも西部劇にしている意味が見当たらない。
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Tetsuya Sato
ドラゴンファイター
2002年 アメリカ 95分(ビデオオリジナル)
監督:フィリップ・J・ロス
12世紀初頭のイングランド。鎧の騎士たちが洞窟の奥でドラゴンを相手に至って生ぬるく戦っていると落盤が起こる。それからいきなり1000年後のカリフォルニア。核シェルターを改造して地下深くに作られた遺伝子工学の研究所にイギリスで発見された謎の生物の遺伝子が持ち込まれる。研究所では絶滅動物の復元などをもっぱらにおこなっていたので早速実験を開始してみると、これがもちろんドラゴンの遺伝子なので3時間ほどで歩き回って人を殺したり火を吹いたりするようになる。武器はまるで歯が立たないが、ところがこのドラゴンには一つだけ弱点があった。温血動物だから暑がりなので、冷たい空気を求めて空調装置の噴出し口に近寄ってくるという習性があった。それならば噴出し口を制御してドラゴンを出入り口から遠ざけて、その隙に脱出しようという話になってやってみると、なんと研究所自体が熱暴走を始めてしまう。そこで博士がぼそっと言うのだ。このまま放置しておけば広島の2分の1の規模の核爆発が2時間後に起こることになる。その後の「2倍じゃなくてよかったよ」という台詞はなかなかに気が利いていたが、つまり、この映画を作った連中は考えたりするのがあまり得意ではなかったらしい。こういう内容の映画でスプリット・スクリーンを使ってみるという妙に実験的な取り組みも、妙なだけに考えた結果ではなかろうと思うのである。
で、結局この博士が諸悪の根源で、やたらと尊大だったり嫌味だったりする割にはひどく頭が悪いので、これはきっと何かあるなと思っていたら案の定、正体は単なるドラゴン・オタクで記念に写真を一枚に撮りたかっただけなのであった。何かというとヒューズが飛んでしまうような安っぽい研究所でドラゴンを復元してはいけない。
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Tetsuya Sato
ダゴン(1971)
Dagon
監督:スチュアート・ゴードン
ラブクラフトの『インスマウスの影』の映画化。ブライアン・ユズナのスペインのプロジェクトの製作で、現代のスペインの話に変更されている。舞台となるインボッカというのはインスマウスの直訳であろう。登場人物には若干の追加変更があるものの、おおむねにおいて原作に忠実な内容となっている。話の性格上どうしても必要になる特殊なデザインにはやや不満を感じたものの、冒頭の嵐から町の中の陰鬱な雰囲気、群れをなして追ってくる住人といった場面は満足できる水準に達しているのではないだろうか。ただラブクラフトだったら絶対にやらないような性的要素、サディスティックで容赦のない描写が織り込まれているのは多分に監督の趣味だと思うのである(顔面の皮を剥ぐ場面のご丁寧な描写はちょっと参った)。つまり予想はしていたことだけど品が悪い。好みから言うとちょっと違う、というのが感想だけど、力作なのは間違いない。それにラブクラフトは映画化されることが少ないので、こうして見られるだけでもうれしいという本音があったりもするのである。
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Tetsuya Sato
トロール・ハンター
Trolljegeren
2010年 ノルウェイ 103分
監督:アンドレ・ウーヴレダル
大学生のドキュメンタリー撮影チームがクマの密猟をしているハンターの噂を聞きつけ、その所在をつきとめて近づいていくと、そのハンターが狩っているのはクマではなくてトロールであることが判明し、しかも密猟をしているのではなくてノルウェイ政府の秘密機関の指示を受けてテリトリーから逃げ出したトロールを追いかけていて、テリトリーから逃げ出したトロールがウシやヒツジ、ドイツ人観光客などを殺害すると、そのトロールをエサやキリスト教徒の血でおびき出すと紫外線をあてて攻撃し、いたって淡々と処分してからノルウェイ政府がポーランドから密輸入しているクマ(これ、スカンジナヴィアのクマじゃないぞ。クロアチアのクマですけどね、どうせわかりゃしませんよ)をトロールの代わりに置いてトロールの存在を隠蔽しているのであった。全体としてはややアイデア倒れの気味があるし、いわゆるPOVの形式であるにもかかわらず、ときどき形式を忘れているようなところがある。とはいえ細部は丹念に作り込まれているし、トロールの見せ方などはなかなかにうまくて、特に体長60メートルの巨大トロールが出現するシーンのもったいぶりには感心した。一見の価値はあると思う。
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Tetsuya Sato